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⚊⚊お店の創業はいつ頃からですか？樽井：創業したのは、今から90年ほど前で、現在はJR伊予大洲駅前で、旅館と料亭のいわゆる「割烹旅館」を営んでいます。
 50年ほど前からは「殿町たる井」もお食事処として営業しています。料理は地元大洲の郷土料理を中心に提供させていただいています。

⚊⚊社長は何代目になるのでしょうか？樽井：厳密に言えば３代目になります。正式には、はっきりとしないんです。と言いますのも、私の2代前のになります祖父と祖母がこの樽井家の養子養女になりまして、実はそれ以前の樽井家のことは詳しくは分っていないんです。
 祖父たちが来る前は「うなぎ屋」を営んでいたようで、当時の製法のタレは今も当社の「秘伝のタレ」として、皆さんに喜んでいただいています。タレに使っていますお醤油は、地元の梶田商店のものです。

⚊⚊そんな歴史があるんですね。今回、芋炊きを全国発送として商品化した経緯について教えてください。樽井：大洲では、以前から晩夏から初秋にかけての風物詩として肱川の河原では「いもたき」が食べられていましたし、当店の殿町お食事処でも人気のメニューでした。
 しかし、コロナ禍の影響で、肱川の河原での食事が中止となり、外出が制限されていた時期もあり、お店で召し上がっていただく機会も少なくなっていました。そんな中で「当店のいもたきを食べたい」というお客様からの声を多くいただき、そこで商品化できないかと思ったんです。

⚊⚊そのような思いでできた商品のこだわりは何でしょうか？樽井：具材は50年以上ほぼ変わることなくシンプルなものです。鶏肉とシイタケ、揚げと里芋、こんにゃくのみ、それ以上は、入れていないです。それが当店の「いもたき」の特徴かなと思います。
 あと「いもたきって甘い」ってよく言われるのですが、この「甘さ」が大洲の味の特徴であり、お客様から言われて、郷土の味を変えてはいけないと思っています。
 我々にとっては、東北地方の食事が「塩しょっぱい」味付けだと感じたりします。この土地で、昔から続く郷土の味を変えずに守っていくことがこだわりです。

⚊⚊今回この商品を作るにあたって苦労した点とか工夫した点はどんなところでしょうか？樽井：うちの「いもたき」は、材料のセットではなく、炊き上げた調理済の状態で発送するので、お客様がご自宅等で温めた時に、芋が崩れたり、味が濃くなったりしないよう、創意工夫を重ねました。袋から出して召し上がられる際には、店舗で提供している味に近くなるよう、作り上げました。

⚊⚊他の発送用の「いもたき」商品には、調理済の状態のものは、あまり見かけませんね。樽井：当店は、もともと宴会でお客様に料理をご提供するというのが生業だったので、 仕入れた素材の魅力を最大限に引き出すことが自分たちの役割、と思って商品開発に取り組んだところ、「調理済商品」という形になった次第です。

⚊⚊「いもたき」を食べていただく方に何か一言。樽井：全国にいらっしゃる大洲ご出身の方々に懐かしい味を楽しんでもらいたですね。また同時に、その方々によって、大洲の「いもたき」の味を全国各地で広めていただけると嬉しいですね。

⚊⚊ええモンセレクションにエントリーされたきっかけを教えてください。樽井：この商品ができたときに、「ええモンセレクション」は県内外にもPR力があると思い、エントリーさせてもらいました。

⚊⚊今後、この「いもたき」をどうしていきたいか、どんなお考えや夢がありますか？樽井：大洲の「いもたき」を楽しむには、やはり河原で食べてもらいたいです。大洲の商品を全国に送り出して、まずは、全国の方々にこの味を知ってもらいたいです。
 そしてこの味の発祥となった大洲にも足を運んでもらい、その方たちに実際に大洲の肱川の河原で「いもたき」を食べていただけると嬉しいですね。

⚊⚊最後に樽井さんの趣味を教えてください。樽井：ギター演奏ですね。最近はあまりやっていませんが。あとは音楽鑑賞（好きなジャンルはメタル系です）。
 今は、なかなか思うように時間が取れませんが、将来は子どもと一緒に演奏してみたいです。（笑）

※ 上記の記事内容は、令和５年にインタビューしたものです。

ひじ川の恵み 大洲のいもたき